2009年11月02日

がんの痛みへの対処

癌が進行すると、患者さんによっては全身の各部に痛みが生じる場合があります。癌の痛みは、すい臓がんに限ったものではありませんが、すい臓がんの場合、すい臓の周囲には肝臓へ行く肝動脈、腸へ行く上腸間膜動脈、門脈が張り巡らされていることから癌が入り、肝臓などへの転移を早めることがあります。そのため、癌が発見されたときにはすでに手術が不可能な状態であり、痛みの軽減が重要な治療となることは少なくありません。

痛みのあるがん患者の日常は、想像を絶する苦痛に満ちたものとなります。不安やいらだちは医療への不信を強めますし、治療への意欲をそぐことにもなりかねません。ですから、現在では痛みへの対処を重視する傾向が強まっています。日本では特に、痛みを我慢することを美徳と考える意識があります。家族や医療スタッフへの遠慮もあるからでしょう。しかし、我慢していると痛みはますます強くなり、それだけ強い薬をつかわなくてはならなくなりますし、痛みがおさまるまでの時間も長くなります。患者が、痛みを我慢しなくてもいい、と感じられるよう、周囲の人たちの配慮が大切でしょう。

痛みへの対処には放射線や神経ブロックなどの方法がとられることもあります。また、消炎鎮痛薬や、モルヒネなどの麻薬、および鎮痛補助薬として向精神薬が用いられることもあります。

すい臓がんのように、はっきりとした症状が現れないままに、病気が急速に進行して手術が不可能な場合、ターミナルケアの一環としてこのような痛みに対する対策が考慮されることがあります。
  

Posted by weblog at 15:32Comments(0)すい臓がん治療

2009年11月01日

がんの痛みの緩和について

すい臓がんは、初期にこれといった症状がないことから、気づかないうちに病気が進行してしまい、気づいたときには他の臓器に転移していたり、もはや手術を行える状態でないことがよくあります。そのよう場合は、無理な治療を強行するのではなく、患者の肉体的、精神的な苦痛を軽減することを重視する治療がとられます。

すい臓がんに限らず、がん患者は、癌の進行、死への恐怖、孤独など、精神的な要因から痛みを強く感じることがあります。病院での治療以外にも、家族が患者の痛みをいやす方法は幾つかあります。癌によって痛む部分も異なりますが、さすったり、温めたりの応急的な方法が効果を上げることもあります。痛みを我慢しなくてもいい、と患者が感じ、家族や医療スタッフに遠慮することなく痛みを訴えることができる環境を作ってあげることは、周囲の者の大切なつとめではないでしょうか。

痛みを強める因子とやわらげる因子

不快感や不眠、疲労感、心配、恐怖、怒り・・・など、ネガティブな感情は痛みの感じ方を強める因子となります。一方、充分な休息、周りの人の理解や共感、気分転換、気分の高揚・・・など、ポジティブな感情をもつことで痛みの感じ方が弱まることもあります。孤独は食欲不振や不眠にいたり、体力を奪って、肝心の治療の妨げにもなるでしょう。腹痛や嘔吐、発熱といったほかの症状と並び、痛みに対する対策も重要なケアのひとつであることを忘れないことが大切です。

医師と家族は協力し、患者の気持ちを理解して精神的な負担を軽くしてあげられるよう努力することが大切です。
  

Posted by weblog at 17:18Comments(0)すい臓がん治療

2009年10月31日

抗がん剤とその副作用について

すい臓がんは、これといった症状がないままに進行してしまうことから早期発見が難しいだけでなく、進行も早く、また再発率も高いがんです。発見されたときには、すでに手術ができない状態であったり、他に転移していることがよくあります。そのような段階にいたってしまった場合、抗がん剤治療や放射線治療が行われます。
抗がん剤というのは、細胞が分裂する際のDNAの合成を妨げる働きをします。がん細胞は通常の細胞よりも頻繁に細胞分裂を繰り返すことから、そのがん細胞の分裂を妨げて細胞増殖を抑える働きをするのです。

しかし、抗がん剤が作用するのは、がん細胞だけではありません。通常の細胞にも影響を与え、副作用が発生します。特に、すい臓がんは抗がん剤の効果があまり期待できないがんの1つです。それでも、生存率を伸ばすことが不可能でないこともあり、副作用との兼ね合いを考えながら使用していくことになります。

抗がん剤の副作用には、吐き気、嘔吐、脱毛などがあります。また、免疫力が低下したり、貧血や出血が起こることもあります。骨髄では造血細胞から赤血球や白血球、血小板などが造られていますが、この造血細胞が破壊されてしまうからです。

新薬や治療法の開発によって副作用はずいぶんと少なくなってきていますし、抗がん剤の副作用を抑える薬の開発も進んでいます。医師から抗がん剤治療を進められた場合は、その効果や使用する事による利点だけでなく、副作用について十分な説明を受け、治療によって患者さんの苦痛が増加することのないようにしたいものです。
  

Posted by weblog at 13:17Comments(0)すい臓がん治療

2009年10月30日

ターミナルケアという考え

すい臓がんは初期に症状がないことが多いため、早期発見が非常に難しい疾患です。そのため不幸にして癌が全身に転移し、末期の症状に陥ることは決して珍しいことではありません。
治療を行っても癌を克服しえない場合、あるいは治療を行うよりも行わないほうが患者の苦痛が少なく、生活の質を維持することが可能である、と判断されたときには、治療を停止することがあります。治る見込みがないと診断され、3~6ヶ月以内に死を迎えることが予測される患者さんの場合です。このような患者さんに対して行われる治療や看護をターミナルケアといいます。

ターミナルケアでは、医療関係者だけでなく、カウンセラーやケースワーカー、ボランティア、そしてもちろん家族が、重要な役割を果たします。肉体的にも、精神的にも苦しんでいる人が多いため、心身の両面から患者を支えることが必要なのです。

すい臓がんは、早期発見が困難であるばかりか、再発率が高いことも特徴のひとつです。がんが周囲に転移している場合、5年生存率は10パーセント以下といわれます。積極的な治療が難しい場合、またはあまり効果が期待できない場合は、患者の生活の質を維持、向上し、痛みの症状を改善することがよりいっそう重要になってきます。ターミナルケアの目的は、肉体的な苦痛をできるかぎり軽減して、死への恐怖からくる悩みを取り除くと共に、患者だけでなく、患者を見守る家族の苦痛を和らげることにあります。
  

Posted by weblog at 16:07Comments(0)すい臓がん

2009年10月29日

QOLという考え方

癌の治療には、多くの場合、手術療法がとられます。その場合、以前は転移や再発を防ぐために、癌の部分をリンパ節も含めて広範囲にわたって取り除く方法が一般的でした。確かに、癌を完全に取り除き、治療することは大切です。しかし、生活の快適さを重視する考え方、「QOL:quality of life」が普及するようになり、手術後の生活の質を向上させるために、できるだけもとの機能を温存してQOLを維持しようとする手術法に変わってきつつあります。
すい臓がんの場合、実際、手術が可能なのは30パーセントといわれます。すい臓がんは症状が明白に現れないことから、気づいたときにはかなり進行しており、手術できない状態にいたっていることが少なくないのです。また、すい臓がんが進行すると、がん細胞が胆管や消化管を圧迫して閉塞性黄疸や消化管閉塞という症状を引き起こす場合があります。このような場合、すい臓がんそのものを治療するというよりも、QLOを維持するという目的で手術をすることがあります。胆管と小腸、胃と小腸、小腸と小腸などをつないでバイパスを作るのです。これにより、黄疸が改善し、食事が摂れるようになる、といった改善がみられるのです。

その他、がんが進行して激しい痛みを伴う場合には、痛みを取り除くことを主眼とした治療が行われます。痛みを伝える神経を切除する方法や、薬を注射して神経の緊張を解き、痛みを和らげたりといった方法です。

これらの治療は、すい臓がんそのものの治療とはいえませんが、患者さんの生活の質を維持し、改善するために重要なものです。
  

Posted by weblog at 13:57Comments(0)すい臓がん治療